スタジオジブリ最初の映画、『風の谷のナウシカ』には原作があることをご存知でしょうか。
原作はマンガとなっています。映画を作りたかった宮崎駿さんが企画案を映画企画委員会に提出したところ、偉い人に「原作がないものを映画にはできない」といわれたのがきっかけです。
今回の記事では、『風の谷のナウシカ』の原作ができた理由から、映画とは違うストーリー、衝撃のラストをご紹介します。この記事を読むと、『風の谷のナウシカ』をもっと楽しめますよ。ぜひご覧ください。
『風の谷のナウシカ』の原作は『アニメージュ』の連載

『風の谷のナウシカ』の原作はマンガで、最初は『アニメージュ』というアニメ専門誌の連載からスタートしました。
『アニメージュ』はジブリでプロデューサーも務めている鈴木敏夫さんが編集していた雑誌で、1978年から現在まで毎月10日に発売されている長寿命のアニメ雑誌です。
『アニメージュ』では『風の谷のナウシカ』の他に、『バロン 猫の男爵』や『海がきこえる』などが連載されていました。
鈴木敏夫さんが『アニメージュ』の編集を担当し、雑誌内の特集で宮崎駿さんと高畑勲さんにインタビューを試みて断られたことから3人の関係が始まり、ジブリの創設や『風の谷のナウシカ』の作成へと繋がっていきます。
ナウシカの原作ができたのは「原作がないものは映画にできない」といわれたから

『風の谷のナウシカ』の原作が作られたのは、映画企画委員会のプロデューサーに原作がないことを理由に案を却下されたことが関係しています。
当時、映画を作りたかった宮崎駿さんが鈴木敏夫さんと共に映画企画委員会に「ハヤオ戦記」と「戦国魔城」の2案を提出しますが、プロデューサーに「原作がないものを映画にはできないよ」と断られてしまったそうです。
怒った宮崎さんが「それならば原作をつくる!」といい、鈴木敏夫さんが編集していた『アニメージュ』でマンガを書くことになりました。
宮崎さんがスゴイのは「映画のためにマンガを描くのは失礼だから、マンガにしかできないことをやろう」とマンガ独自の技法も取り入れているところです。
マンガの作風が手が込んでいて、少し怖いのもそれが理由かもしれません。
『風の谷のナウシカ』の映画後もストーリーは続く

実は映画『風の谷のナウシカ』は、7巻あるマンガのうちの2巻だけのお話です。
原作がないならつくるまでだとはじめたマンガですが、描いているうちに早く映画にしたい。するべきだとなったのだそう。
それほどマンガが面白かったということですね。
原作では、映画には登場しなかった国やキャラクターがいたり、ナウシカやアスベルが他のキャラクターと仲良くなっていたりと違いがみられます。
どういった点が違うのか、相違点をご紹介します。
1. 土鬼(ドルク)、腐海の住人が登場
映画では風の谷・ペジテ・トルメキアの3国のみのお話しとなっていますが、原作には土鬼(ドルク)や腐海の住人も登場しています。
登場をカットできるほど端役というわけではなく、むしろナウシカが真実を見つけるのに重要な役割を果たす国や人物です。
土鬼は、部族国家の連合体で、神聖皇帝をトップにおいています。トルメキアからは内海を隔てて大陸の南端に位置する国です。
土鬼の首都「シュワ」には旧世界の遺跡があり、そこには「火の7日間」という戦争以前の、高度な文明が栄えていた時代の技術を保持した「墓所の王」がいます。歴代の王のみが墓所の場所を知っており、墓所の王に知識をもらっていました。土鬼は旧世界の技術を持っていたため、軍事大国トルメキアよりも強い国として名を轟かせていたのです。
『風の谷のナウシカ』には腐海の住人として、蟲使いや森の人も登場しています。
「蟲使い」は蟲を操って遺跡や墓所を探し、金目のものを漁って生計をたてています。「森の人」は蟲を操らないものの、蟲の卵を食べたり体液で作ったテントで暮らしたりしている人たちです。
力関係でいうと、森の人の方が蟲使いよりも上だとされています。
2. 巨神兵と共に旅をする
映画ではナウシカが王蟲たちの暴走を身を持って止めたところでストーリーが終わりますが、原作ではその後、ナウシカは巨神兵とともに旅をしています。
巨神兵には名前もあり、その名を「オーマ」といいます。ナウシカが名付け、彼を息子のように扱いました。ナウシカがこの世界の真相に近づくために、彼は重要な存在です。
>>【風の谷のナウシカ】巨神兵はなぜ生み出された?旧世界の伝説から紐とく、巨神兵の本当の正体
3. ナウシカは森の人と結ばれる
映画ではナウシカはアスベルと仲が良さそうに思えましたが、彼らは結ばれませんでした。宮崎駿監督いわく、「くっつきそうだったからあえて離した」とのこと。
原作でも彼らはくっついておらず、それぞれ別の人と懇意になっています。
ナウシカは、腐海に住む森の人、セルムと仲良くなっていますよ。
>>【風の谷のナウシカ】ナウシカとアスベルの関係はその後どうなった?その他主要5キャラクターについても解説
原作ではナウシカは人工的に作り出された存在だった

映画では人間と自然が共生していく話でまとまっていますが、原作ではさらに細かい設定があります。
実は王蟲や腐海の植物は墓所で作られていました。また、ナウシカを含む現世の人類や動植物が人工的に作られた存在で、世界の浄化が完了すると滅びる存在であると語られています。
墓所の主によると世界の浄化が完了した後、眠らせていた旧世界の人類や動植物を目覚めさせる予定だったそうです。
まさか、ナウシカたちが人工的な存在だとは思わないですよね。自分は作り出された人間だったのだと知らされたナウシカの感情は計り知れません。
>>風の谷のナウシカで登場する人間は人造人間?都市伝説15選と共に裏設定を解説!
原作のナウシカのラスト

ナウシカが自分たちが人工的につくられたのだと知ると、旧世界の住人の卵を壊す行動にでました。
「苦しみや悲しみ、そして死も人間の一部であることを受け入れ、汚濁とともに生きてゆくこと」を選択したのです。
ナウシカは仲間にもその事実は伝えず、真相を胸にとめてその後も生活しています。土鬼で生活したあとも、森の人と結ばれて森にはいったともいわれていますよ。
長かった戦いが終わったのですから、平穏に暮らしてほしいですね。
>>【風の谷のナウシカ】主人公ナウシカは蟲の気持ちがわかる!?唯一腐海の正体に気づいた
『風の谷のナウシカ』の原作が怖いのは描写のせい

『風の谷のナウシカ』の原作の感想をみると、「怖い」という意見が多くみられます。
これは、宮崎駿監督がマンガにしかできないことを意識して原作を描いたため、描写の手が込んでおり、グロテスクにもなっているのだと思われます。
すこしグロいシーンをご紹介します。
1. 蟲が人間を襲う
原作のマンガでは、実際に蟲が人間を襲い、人が喰われているシーンがあります。映画ではそこまで描かれていません。
リアルに蟲が人を食し、腕や足を食べられてしまう場面もあるため、虫が嫌いな人は本当に嫌なシーンだと思います。
蟲が人を襲っているシーンをみると、この世界の人間が蟲を嫌う理由が肌感覚でわかりますよね。
2. 血を吐く人に口で毒を吸い出す
原作には腐海の瘴気にあたった人が、大量の血を口から吐くシーンもあります。周囲の人は毒への感染を恐れて血を吐いている人に近寄っていませんでしたが、ナウシカは近づき、口で毒素を吸い取っていました。
大量に血を吐いて噴水のようになっている人もグロテスクですが、その人に口を合わせるナウシカにも驚きです。
3. ユパの腕がなくなる
映画では五体満足のナウシカの剣の師匠ユパですが、原作では争いを止めるときに自らの腕を無くしています。
人の腕が取れるシーンが描かれているのは、少し恐ろしいですよね。このシーンも『風の谷のナウシカ』の原作が怖いといわれている一因です。
>>【風の谷のナウシカ】ユパの年齢は45歳!髪型はモヒカン?
歌舞伎では風の谷のナウシカの原作ストーリーの全貌が描かれている

『風の谷のナウシカ』は歌舞伎でも演じられているのをご存知でしょうか。2019年に始まり、2022年にはキャストを変えて再演もされています。
歌舞伎では映画ではなく、原作のストーリーをみることができます。
評価をみると、『風の谷のナウシカ』の原作を知らない人には難しいという意見が多いです。
2022年の再演は7月で終わってしまいますが、7月に演じられているのは、一部のみ。今後続編もでるはずです。原作のマンガを楽しんだあとは、歌舞伎をみてみてはいかがでしょうか。また違った面白さがあると思います。
映画『風の谷のナウシカ』を見るならツタヤディスカス

原作の『風の谷のナウシカ』を楽しんだあとは、また映画をみてみてはいかがでしょうか。
新たな発見があるかもしれませんよ。
『風の谷のナウシカ』の映画をみるなら、DVDの宅配サービスのツタヤディスカスがオススメです。
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原作『風の谷のナウシカ』は人類と自然の共存がテーマの活劇

『風の谷のナウシカ』の原作は、映画よりも物語の真相に迫った作品です。人とは何か、蟲とは何か。世界の真理について語られています。
戦闘シーンも多く、人同士の争いや自然との戦いもあり、終始ハラハラします。しかし、見終わったあとにはどこか考えさせられる、深い作品です。
『風の谷のナウシカ』は、「大人もみられる作品を」という思いからつくられています。そのためか、一度では理解しきれないことも多いです。
原作を読んだあとは、再び映画をみてみることをオススメします。新たな発見があるかもしれません。
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