【風の谷のナウシカ】に登場するクシャナは巨神兵を使い王蟲に対峙する、物語には欠かせない人物です。
ナウシカと並ぶほどファンが多い登場人物ですが、原作と映画では人物像のギャップが最もあると言っても過言ではないでしょう。
今回は、原作と映画でのクシャナの描かれ方の違いや、ナウシカや部下との関係をご紹介します。
またクシャナの名前の由来など、【風の谷のナウシカ】をもっと楽しむ事ができる情報もありますよ。
この記事をきっかけに、あなたもクシャナのファンになってしまうかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
>>【風の谷のナウシカのキャラクターまとめ】これを読めば登場人物が全部わかる!
クシャナはトルメキア王国のカリスマ殿下
クシャナは、主人公であるナウシカが暮らす風の谷を侵略しに来た、トルメキア王国の将軍です。何故、彼女が殿下と呼ばれるのか、またどの様な生い立ちなのかをご紹介します。
1. 部下から絶大な支持を得る第3軍最高指揮官
クシャナはトルメキア王国の第4皇女でもあり容姿端麗、25歳という若さでありながら、他の兵士からの信頼が厚いため、敬意をこめて「クシャナ殿下」と呼ばれています。
卓越した戦術能力と指揮能力で部下を率いて、自ら戦場に立つ姿は勇ましく、彼女の為なら命は惜しまないと部下に思わせてしまうほど魅力的な人物です。
また、クシャナは自身の生い立ちから喜怒哀楽をあまり表に出しませんが、自分の部下に対し、熱い人情があると感じられる場面が作中にあります。この人について行きたいと思わせる、まさに理想の上司といえるのではないでしょうか。
2. 幼い頃から周囲に命を狙われていた
クシャナはトルメキア王国のヴ王の娘かつ、先王の直系の血筋を持つたった一人の子孫です。その為、クシャナを良く思わない他の王位継承者から何度も命を狙われ、大切な母親を巻き込んでしまった過去があります。
この経験から、クシャナは次第に喜怒哀楽を表に出さなくなります。部下からの信頼が厚く、カリスマ的存在のクシャナですが、彼女から冷徹な印象をどことなく感じる方もいるのではないでしょうか。
それはクシャナが自分の身を守るために、必死に生きてきたからなのかもしれません。また、クシャナが優れた剣の腕の持ち主になったのも、つねに周囲から命を狙われる環境にあったからなのでしょう。
クシャナには先王の血を受け継ぐ母と兄たちがいる

クシャナの母親は、先王の直系の血筋を持つ人物です。クシャナの母親がヴ王と結婚し、先王の血を受け継ぐ子供としてクシャナが誕生しました。
また、クシャナには3人の兄がいます。しかし、兄たちの母親は別の女性であり、誰もクシャナとは血の繋がりがありません。クシャナは他の王位継承者から妬まれ、何度も毒を盛られ、命を狙われてきました。
状況を見かねた母親はクシャナをかばい自ら犠牲となり、毒のせいで気が狂ってしまいます。クシャナは深く傷つき、この出来事を境に父と兄に復讐を誓います。
クシャナから「本国のバカ共」や「暗愚な小心者」と呼ばれる3人の兄たちは、クシャナの暗殺を企てますが、逆にクシャナや部下たちによって失墜させられてしまいます。
結局、誰一人としてクシャナに敵う王位継承者にはなれなかったようです。
クシャナは「腐海に怯えることのない世界」を目指していた
クシャナは巨神兵を使い腐海の木々や蟲たちを焼き払います。なぜなら、腐海に怯えることのない世界を作りたいという強い思いがあるからです。
クシャナは過去に、腐海の蟲に襲われたというエピソードがあります。映画では蟲に襲われた際に、身体の一部を食べられてしまった為、腐海を焼き払い蟲を殺すことを目的に、ナウシカの故郷である風の谷に侵略していきます。
一見、冷徹で自己中心的にも見えるクシャナの行動ですが、背景にはトルメキア王国の人々を守りたいという強い信念があります。
自分と同じような思いを自国の人々にして欲しくないという気持ちが、部下の兵士たちの心をとらえ、腐海に怯えることのない世界を目指し共に突き進んでいくのです。
クシャナは悪役 ?左手の義手は映画だけ?原作と映画の人物像の違い

【風の谷のナウシカ】の映画は、原作の漫画の7巻中2巻の途中までのお話になります。
映画では物語のさわり部分しか描かれていない為、クシャナの人物像が原作と大きく異なるようです。
それぞれクシャナがどの様な設定で描かれているのかご紹介します。
1. 原作のクシャナは「もう一人の主人公」
原作のクシャナは、ナウシカに次ぐ人気を誇る登場人物になります。とにかく、クシャナがかっこよく「もう一人の主人公」としてファンを魅了しています。
原作のクシャナの魅力は、何と言っても素晴らしい人間性です。原作ではクシャナは思慮深く聡明な女性として描かれています。自身が最高指揮官を務める軍の兵士からも絶大な支持を集めており、クシャナの為なら命を落とす覚悟もあるくらい、人々から尊敬されています。
またクシャナも、対立する兄に捕らわれた兵士を助けに行ったり、瀕死の部下を背負って救出するなど、上司として傲慢になることなく部下を思いやり、大切にしている様子が描かれています。
ナウシカも心優しい性格で人気がありますが、強い信念をもって部下と共に突き進むクシャナも「もう一人の主人公」として人気があるのも納得ですよね。
2. 映画のクシャナは悪役
一方、映画のクシャナは原作に比べ、冷徹で傲慢な指揮官という印象を与えます。
ナウシカの父を殺害し、風の谷を侵略してナウシカを人質としてとらえてしまうので、ナウシカ目線で物語を見ると悪役と感じるのではないでしょうか。
また、映画のクシャナには左手が義手という設定があります。原作のクシャナは五体満足で描かれているので映画のみのオリジナル設定になります。
クシャナの左手が義手となってしまった原因は、蟲たちに襲われた際に食べられてしまったからです。
体の一部が奪われ、蟲を憎み、人間の生活を守るために腐海と蟲を焼き払いたい。腐海すらも愛する心優しいナウシカと敵対する人物を作る為、クシャナを義手の設定にし、原作に比べ冷徹で傲慢な悪役にしたのではとファンの間では推測されています。
しかし、腐海に消えたナウシカに対し、もっと話をしてみたかったと穏やかな顔で部下に語る場面もある事から、映画のクシャナも完全な悪役ではなく、暖かい人間味を持ち合わせている人物なのかもしれません。
>>ナウシカは原作では人工人間だった?風の谷のナウシカの映画では語られない真実
クシャナとナウシカの関係は戦友

クシャナとナウシカの関係を言葉に表すのなら、表裏一体の戦友といえるのではないでしょうか。
クシャナとナウシカは、腐海に対する思いが真逆です。クシャナにとって腐海は悪であり、人々の生活の為に焼き払いたいと思っています。一方でナウシカは腐海も生命があるものとして愛しています。
自分の信念を強くもって突き進むクシャナに対し、どの様なものにも心優しいナウシカ。クシャナは自分の考えとは異なるナウシカに対し、不愉快な気持ちになります。
しかし、次第にナウシカの魅力に惹かれ、戦友だと思うようになるのです。その心境の変化が、映画版では腐海に消えたナウシカの帰りを待ちたい、もっと話しをしてみたかったとクロトワに告げる場面に、原作では戦友としてなら忠告をきいてやるとナウシカに告げる場面に表現されています。
>>【風の谷のナウシカ】主人公ナウシカは蟲の気持ちがわかる!?唯一腐海の正体に気づいた
クシャナとクロトワはただの上司と部下?2人は結婚したのか

物語の中で、クシャナの参謀として活躍したクロトワ。クシャナに対し、「かわいくなっちゃって」と呟くなど、女性として意識しているような場面もあります。
クシャナもクロトワに対して穏やかな表情を見せる場面があり、2人の関係は進展するのではと思われましたが、残念ながら結婚などはしていないようです。
クロトワは元々クシャナを暗殺するために、ヴ王に送り込まれたスパイです。
しかし、クシャナにスパイであることを見破られ、クシャナの部下となります。部下となったクロトワは、自分の命をかけてクシャナを守ります。クシャナもクロトワの忠誠心に応えるべく、戦いで瀕死になったクロトワを助け、看病し、2人は二人三脚で戦いに挑んでいきます。
クロトワは、出世をして一国を支配する人物になるという野望がありました。クシャナもその事に気づいており、クシャナと結婚をすればその野望は簡単に達成できたかもしれません。
結婚できなかったのか、あえてしなかったのか。作中では戦いの後の2人の関係については明らかにされておりません。
しかし、2人はただの上司と部下という関係を超えた、特別な存在である事は確かなようです。
>>『風の谷のナウシカ』のクロトワは有能な参謀!野望あふれるかっこいい男
クシャナには「I=愛」がない?名前の由来に2つの有力説あり
風の谷のナウシカのファンの間でも話題となっているクシャナの名前の由来。
有力な2つの説をご紹介します。
1. 北インドのクシャーナ朝説
1つ目の説は、古代インドに実際に存在したクシャーナ朝がモデルなのではと言われています。
クシャーナ朝は中央アジアから北インドにかけて支配を及ぼしたイラン系の国家です。1世紀~3世紀頃まで勢力を持ち続けましたが、ローマ帝国の衰退と共にクシャーナ朝も衰退していきました。
宮崎駿監督は、実在する地名や歴史のある場所を作品にとりいれる事があるようなので、クシャーナ朝がクシャナの名前の由来になっている可能性もあるかもしれませんね。
2. ナウシカの綴りを入れ替えたアナグラム説
2つ目の説は主人公のナウシカの綴り、「NAUSICAA」を入れ替えて「CUSIANAA」としたアナグラム説です。
また、ナウシカをローマ字にすると「NAUSHIKA」、クシャナをローマ字にすると「KUSHANA」という表記になります。一つずつ同じアルファベットを照らし合わせていくと、「NAUSHIKA」の「I」のみが残ります。
ナウシカは腐海に対しても愛があり、地下でこっそりと腐海の植物を育てています。
一方、クシャナは腐海のない世界を目指し、蟲たちを焼き払おうとしています。
「I=愛」があるのがナウシカで、「I=愛」がないのがクシャナ。ナウシカファンの間で推測されているアナグラム説も非常に興味深いですね。
>>風の谷のナウシカで登場する人間は人造人間?都市伝説15選と共に裏設定を解説!
クシャナの最後は生涯代王にとどまる
クシャナは玉蟲との戦いの後、トルメキア王国に帰還します。
クシャナはヴ王から「トルメキア王国の正統なる後継者として、疲弊したトルメキアを再建しろ」と王位を譲られます。
しかし、クシャナは「すでに新しい王をもっている」と言い、王の座にはつきません。生涯代王として、疲弊したトルメキア王国の再建に尽力します。クシャナが生涯代王にとどまった理由は、明らかにされておりません。
しかし、クシャナには3人の兄たちとの後継者争いで悲しい思いをした過去があります。王を立てることで、自分と同じ境遇になるものが出てほしくないという思いがあったのかもしれません。
ヴ王の死後、トルメキア王国は正式な王を持たぬ国となりましたが、クシャナは英雄として語り継がれることでしょう。
>>【風の谷のナウシカ】ナウシカとアスベルの関係はその後どうなった?その他主要5キャラクターについても解説
頼れる最高指揮官クシャナの名言
自分の部下もナウシカのファンも虜にしてしまうクシャナ。クシャナのセリフの中でも特に印象的な4つのセリフをご紹介します。
1. 「我が夫となる者はさらにおぞましきものを見るだろう」
こちらは、映画でのクシャナのセリフになります。
蟲たちに襲われ左手が義手になってしまったクシャナ。きっと体の至る所に傷があるのでしょう。映画では両足にも黄金の鎧をまとっているため、もしかしたら義足なのではという説もあります。
自分と結婚するのであれば、命の危険があることを覚悟しろ、というクシャナの思いが込められたセリフなのではないでしょうか。
2. 「どうした化け物、それでもこの世で最も邪悪な一族と言われた末裔か!!」
巨神兵を煽る為に放った一言です。巨神兵に躊躇することなく、この言葉を放てるクシャナはとても勇敢でカッコいいですね。
3. 「今使わずにいつ使うのだ!」
玉蟲がクシャナ達に襲い掛かってきた時に、クシャナが部下に対して放った一言です。
まだ未完成だった巨神兵を使う事に部下は戸惑いましたが、クシャナは一切躊躇しませんでした。クシャナの優れた指揮能力が発揮されたセリフではないでしょうか。
4. 「焼き払え」または「薙ぎ払え」
玉蟲の群れに向けて、巨神兵にビームを打たせようとした時のセリフです。
一発目が「焼き払え」、二発目が「薙ぎ払え」。短いセリフですが、クシャナの覚悟と強さを感じるセリフです。
>>【風の谷のナウシカ】心に響く名言・名セリフ24選!ナウシカの名言や名シーンからわかるセリフの特徴とは?
クシャナの声優は榊原良子

クシャナの声は、声優の榊原良子さんが演じています。榊原さんの落ち着いた声質が、思慮深く聡明な女性キャラであるクシャナにぴったりだとファンからも絶賛されています。
クシャナのほかにも人気アニメ「機動戦士Zガンダム」のハマーン・カーン役や、「機動警察パトレイバー」の南雲しのぶ役を演じられています。また、ニュース番組でナレーションを務めた経験もある、実力派声優の一人です。
近年では、2020年に子供たちに大人気のEテレ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」でよどみという悪役を演じられた他、第15回声優アワードで「高橋和枝賞」を受賞されています。
この「高橋和枝賞」とは、その年に声優という仕事を広くメディアに知らしめた方に送られる賞です。クシャナを演じた当時から現在まで、榊原さんが精力的に声優活動をされており、多くのファンの方がいらっしゃる事がうかがえますね。
【風の谷のナウシカ】クシャナの活躍を原作と映画で見比べるならTSUTAYADISCAS

「ナウシカの原作は読んだことがあるけど、映画も見てみたくなった。」
「今度はクシャナに注目して、映画を見直してみようかな」
当記事を読んで、【風の谷のナウシカ】を見たくなった方にはTSUTAYADISCASがおすすめです。
TSUTAYADISCASはTSUTAYAの宅配レンタルで、会員になれば送料0円でご自宅まで作品を届けてくれるサービスです。
借りる時はスマホやパソコンから簡単に手続きができ、返す時はポストに投函するだけなので、誰でも気軽にご利用できます。
映画やドラマのDVD以外にCDも取り扱っており、新作・旧作ともに毎月たっぷり楽しむことが可能です。【風の谷のナウシカ】はもちろん、他のジブリ作品も扱っているので、ぜひこの機会に楽しんでみてはいかがでしょうか。
>>【必見】ツタヤディスカスの評判や口コミを徹底調査!メリット・デメリットから解約方法まで全て解説
クシャナの描かれ方に注目すると風の谷のナウシカは何度でも楽しめる
クシャナはとても人気のある登場人物ですが、原作と映画では人物像の描かれ方に大きなギャップがあります。
原作では、部下はもちろん読者までも虜にしてしまうカリスマ殿下。映画では冷徹で傲慢な最高指揮官。
【風の谷のナウシカ】はクシャナの人物像の違いで、物語やナウシカに対する印象が変わってきます。主人公はナウシカですが、クシャナ目線で物語を見てみると、また違った印象を受けるので、何度見ても楽しめる作品といえるでしょう。
原作と映画、両方のクシャナをぜひ見比べてみてくださいね。
コメント