「ラピュタの“バルス”には意味はあるの?」
「バルス祭りってなに?」
『天空の城ラピュタ』を代表する名セリフ「バルス」。誰もが知るセリフですが、その意味や語源を知っている人はそう多くはありません。
そこで、この記事では「バルス」の意味や語源、「バルス」にまつわる謎について徹底調査してきました!
ネットで話題の「バルス祭り」についても解説しているので、ぜひ最後までご覧くださいね。
※映画作品や小説のネタバレを含みます。
天空の城ラピュタで「バルス」が使われた理由とシーンを解説!

まずは『天空の城ラピュタ』で「バルスが使われたシーンをおさらいしましょう。
「バルス」とはラピュタを崩壊させる滅びの呪文。ラピュタ王国を復権させ、世界を征服しようとしていたムスカを食い止めるため、パズーとシータはラピュタを崩壊させる覚悟を決めます。
2人が「バルス」を唱えた直後、飛行石が強烈な輝きを放ち、ラピュタの大部分が崩れ落ちます。ムスカは崩壊したラピュタとともに地上に落下しますが、パズーとシータはグライダーで脱出。その後ドーラ一家と再会し、別々の道へと飛んでいきます。
滅びの呪文「バルス」のラピュタ語の意味と語源

「バルス」はもともとラピュタ王国で誕生した呪文です。ラピュタ語では「閉じよ」の意味を持ちますが、宮崎駿監督はなぜ滅びの呪文に「バルス」と名付けたのでしょうか?
ここでは有力な説を2つ紹介します。
「バルス」の語源1:トルコ語の「barış」説
「バルス」はトルコ語の「barış(バルシュ)」を語源にしているといわれています。実際にトルコ語のオンライン辞書で意味を検索してみました。
barış[名] 平和、安寧、平安
出典:Glosbe
「barış」の意味は“平和“。滅びの呪文が持つ意味としては一見矛盾しているようにも思えます。しかし、ラピュタはかつて地上を支配していたほど圧倒的な科学力を持った帝国でした。きっと、ラピュタの政権を巡って幾度となく争いも起きたことでしょう。
「ラピュタさえなければ争いは起きなかった」。ラピュタ人たちがそう考えたのなら、滅びの呪文に“平和”の意味を込めたのも納得できます。
「バルス」の語源2:『マッドメン』内のピジン語を引用した説
もう一つの有力な説が、諸星大二郎の漫画『マッドメン』に登場するピジン語を引用した説です。
『マッドメン』とは1975年から1982年にかけて連載された少年漫画。パプアニューギニアを舞台に、日本神話や精霊信仰をテーマとした壮大な物語が展開される諸星大二郎の代表作です。
この『マッドメン』の作中で「バルス」が「飛行機」「鳩」などの意味を持つと解説されていることや、宮崎駿監督が諸星大二郎作品に影響を受けていることから、ピジン語が「バルス」の由来として挙げられています。
みんなが気になる「バルス」にまつわるQ&A

「バルス」にはさまざまな謎がありますが、ここではよくある2つの疑問を調査してきました。
1. シータがラピュタ語の呪文を知っているのはなぜ?
シータは「バルス」だけでなく、「リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール(我を助けよ、光よよみがえれ)」といった呪文も知っていました。これらはラピュタ語の呪文で、ラピュタ王国の一族に代々伝わってきた言葉です。
シータは祖母から呪文を教わったことが劇中でわかっています。「あたし、他にもたくさんおまじないを教わったわ。もの探しや、病気を治すのや……」というシータのセリフにある通り、他にもさまざまなセリフを教わっていたようです。「バルス」に関しては、「教わったとき、怖くて眠れなかった」と語っています。
2. 「目が、目がぁ!」なぜムスカは失明したのか?
パズーとシータが「バルス」を唱えた直後にムスカは「目が、目がぁ……!」と苦しみます。「なぜムスカは目を押えているの?」という疑問を持つ人も多いこのシーンですが、飛行石の強烈な光によってムスカの目が失明してしまったという説が有力です。
しかし、近くにいたパズーとシータは無事であることから、がれきがサングラスに直撃して目に刺さったという説も。また、ムスカが昼でもサングラスを掛けていることから、生まれつき瞳が弱いという説もあります。
>>ムスカ大佐はジブリ屈指の悪役!ムスカの本名とラピュタの関係性も解説
天空の城ラピュタといえば「バルス祭り」も要チェック!

“バルス祭り”とは『天空の城ラピュタ』のテレビ放送時に、シータとパズーが「バルス」と唱えるのと同時にTwitterなどに「バルス」と投稿すること。今では恒例行事ともいえるバルス祭りの始まりや歴史、過去の様子を紹介していきます!
1. 「バルス祭り」の始まりと歴史
バルス祭りの歴史を紹介するにあたり、日本テレビ金曜ロードショーで『天空の城ラピュタ』が放送された日を調査しました。
第1回 | 1989年7月21日 | 第9回 | 2004年12月24日 |
第2回 | 1991年5月3日 | 第10回 | 2007年6月15日 |
第3回 | 1993年3月26日 | 第11回 | 2009年11月20日 |
第4回 | 1995年3月24日 | 第12回 | 2011年12月9日 |
第5回 | 1997年3月7日 | 第13回 | 2013年8月2日 |
第6回 | 1998年12月25日 | 第14回 | 2016年1月15日 |
第7回 | 2001年2月23日 | 第15回 | 2017年9月29日 |
第8回 | 2003年3月14日 | 第16回 | 2019年8月30日 |
1989年の第1回放送からおよそ30年で16回も放送しているようです。『天空の城ラピュタ』の人気ぶりがよくわかりますね。
「バルス」の投稿が目立つようになったのは2009年の放送からといわれています。Twitterが誕生したのが2006年、日本でリリースされたのが2008年ですから、Twitterが広まったのと同時期に生まれた文化であることがわかります。
以下は、過去のバルス祭りの結果です。
第1回 | 2009年 | ・2ちゃんねるのサーバーがダウン ・Twitterで「バルス」の投稿が目立つようになる |
第2回 | 2011年 | ・1秒間に25,088件のツイートが投稿される ・秒間ツイート世界記録達成 |
第3回 | 2013年 | ・1秒間に143,199件のツイートが投稿される・ ・2ちゃんねるのサーバーがダウン |
第4回 | 2016年 | ・1分間に345,307件、1秒間に約55,000件のツイートが投稿される |
第5回 | 2017年 | ・1分間に215,245件、1秒間に48,445件のツイートが投稿される |
第6回 | 2019年 | ・1分間に149,826件のツイートが投稿される |
表を見ると、バルス祭りのツイート数のピークは2013年であったことがわかります。近年はツイート数が落ち着いているように見えますが、2019年にも1分間で約15万件のツイートを記録していることから、まだまだバルス祭りに関心を持っている人は多いといえます。
2. 「バルス祭り」にツイッターで参戦した企業
過去のバルス祭りでは、企業の公式アカウントも続々と参戦していました。もっとも有名なのは「株式会社タニタ」のこちらのツイートです。
社名をかけた一大イベントでしたが、結果はバルスの勝利。タニタは1日限定で社名を「株式会社バルス」に変更していました。
3. 「バルス祭り」の海外の反応
日本で大盛り上がりを見せるバルス祭りですが、アジア圏では現地語で「バルス」をツイートするファンも多いようです。
また、日本のバルス祭りは海外でも取り上げられた様子。当時のビヨンセのツイートを超えたことで話題となりました。
過去にはツイッターで「バルス禁止」のデマが流れたことも

バルス祭りの流行を受け、過去には「バルス禁止」のデマが流れたこともあります。
一見新聞記事の切り抜きに見えますが、よく見るとフェイクであることがわかります。当時は「懲役5年」「罰金1億円」などの文章に困惑する人も続出していました。
天空の城ラピュタの「バルス」は色褪せない名セリフ!次回の「バルス祭り」もお楽しみに

『天空の城ラピュタ』に登場する呪文「バルス」は、現代でも色褪せない名セリフです。意味や由来を知っていれば、作品への理解が深まることはもちろん、プチ雑学として雑談にも使えますよ。
次回のバルス祭りの時期は未定ですが、きっと多くのラピュタファンがネットを盛り上げてくれることでしょう!
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