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猫に注目したら『耳をすませば』がもっと面白い!登場する猫たちと『猫の恩返し』の関係

スタジオジブリの映画『耳をすませば』。主人公の雫が、バイオリン職人を目指す聖司と出会い、自らも夢に挑戦するなかで聖司と恋をしていく青春物語です。多くの人が雫と聖司の、まっすぐな姿と純粋な恋に胸をときめかせたのではないでしょうか。

今回はそんな『耳をすませば』に登場した2匹の猫に注目してみようと思います。『耳をすませば』では猫たちが物語の重要な役割を担ってくれています。

また、耳をすませばと猫の恩返しには意外な繋がりがあるんですよ

この記事を読めば『耳をすませば』の見方がちょっと変わるかもしれませんよ。ぜひ、最後までチェックしてみてください。

>>知ってた?「耳をすませば」その後の展開を知って何倍も面白くなる!

目次

『耳をすませば』は実は猫好きにはたまらない!

出典:スタジオジブリ

耳をすませばという作品は、猫が物語のポイントになることから猫好きにはたまらないと言われています。

中でも、耳をすませばに登場する2匹の猫バロンとムーン。2匹の魅力と、『猫の恩返し』とのつながりについてご紹介します。この2匹の猫に注目すれば、『耳をすませば』も『猫の恩返し』も面白さが倍増すること間違いなしですよ!

『耳をすませば』に登場する猫1:バロン

出典:スタジオジブリ

雫が見つけたアンティークショップ「地球屋」にあった猫の置物バロン。

正式な名前は「フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵」。バロンとは「男爵」を意味する呼び名です。バロンはまさに男爵の名にふさわしく、品があり誇り高い姿をしています。

「地球屋」の主人西司朗とバロンには少し悲しい物語がありました。バロンにはかつて対となる白い猫の恋人の置物があったのです。

白猫の名前は「ルイーゼ」。その持ち主は西司朗のかつての恋人でした。

出典:スタジオジブリ

西司朗はかつてドイツに留学していた経験があり、そこでバロンと出会いました。

どうしてもバロンを手に入れたい西司朗でしたが、持ち主に断られてしまいます。その理由はバロンの対となるルイーゼが修理に出されていて、バロンはルイーゼを待っているところだから。

そこで西司朗の想い人である女性があらわれて、後で必ずルイーゼをバロンのもとへ連れてくるからと約束してくれました。そのおかげで、西司朗はバロンを手にすることができたのでした。

しかしちょうどその頃、世界の情勢が不安定となり戦争が始まってしまいます。西司朗の想い人である女性との連絡は途絶え、ついにルイーゼがバロンの元に帰ることはなかったのでした。この物語を聞いて、雫は心動かされます。

バロンとルイーゼはまるで西司朗とその女性のようだと。雫は、自分の物語の主人公はバロンしかいないと感じ、物語『耳をすませば』を書き始めるのでした。

バロンは雫にとって、自分の夢に向かって最初の一歩を踏み出す手助けをしてくれた存在になりました。雫の書いた『耳をすませば』では、バロンのこんなセリフが印象的です。

「行こう!!恐れずに!!!」

>>『耳をすませば』の名言17選!心がじんわりあたたかくなるセリフ達

『耳をすませば』に登場する猫2:ムーン

出典:スタジオジブリ

『耳をすませば』に登場するもう1匹の猫の名前は「ムーン」です。いや「ムタ」と呼ぶべきか、「お玉」と呼ぶべきか…。

聖司は「ムーン」と呼んでいますが、えさをくれる人のところを巡り歩いては、あらゆる名前で呼ばれているのです。たくさんの名前を持っているこの猫は、ずんぐりむっくりした体つきで、左耳のぶちがチャームポイント。

犬をからかったり、一人で電車に乗ったりするほどの神経のずぶとさを持ち合わせています。

雫を「地球屋」に導いてくれたのは、何を隠そうこの「ムーン」でした

出典:スタジオジブリ

「ムーン」が電車に乗って移動しているのを雫が見かけ、ついていった先に「地球屋」があったのです。猫が電車移動をしているところを見かけたら、つい付いていってみたくなりますよね。

雫も、何か起こりそうなわくわく感で「ムーン」の尾行を始めたのでした。

雫にとっては、新たな物語の始まりの予感となるドラマチックな出来事でしたが、「ムーン」にとっては単に「地球屋」に行くいつものルーティンだったのかもしれませんね。

すました顔でてくてくと先を行く姿は、なんともいじらしく猫好きにはたまらなかったのではないでしょうか。

>>『耳をすませば』キャラクター紹介!豪華声優陣情報も!

『耳をすませば』と『猫の恩返し』の意外なつながり

出典:スタジオジブリ

『耳をすませば』に登場した2匹の猫「バロン」と「ムーン」は、同じくスタジオジブリの作品『猫の恩返し』にも登場していることをご存じでしたか?

実はつながりのあるこの2作品。「バロン」と「ムーン」に注目してみると、もっと作品を楽しめるかもしれません。

『猫の恩返し』との共通点1:原作者のつながり

実は『耳をすませば』と『猫の恩返し』の原作者は柊あおいさんという方。2作品とも同じ方が原作を書いているんです

『耳をすませば』は雑誌「りぼん」で柊さんが連載していた少女漫画。それを宮崎駿さんが発見して映画化することになりました。

>>「耳をすませば」には原作があった!?映画版との違いを徹底解説

一方『猫の恩返し』はもともと映画化する予定のあったものではなく、猫をモチーフにしたアニメの原作を書いてほしいという依頼で書かれたものでした。そこで柊さんはバロンが登場する『猫の恩返し』を書きました。

つまり時系列でいうと『耳をすませば(1995)』→『猫の恩返し(2002)』の順で作品がつながっているのです。

では『耳をすませば』の物語と『猫の恩返し』の物語はどのようにつながっているのでしょうか。映画のおさらいをしながら、解説していきます。

出典:スタジオジブリ

映画『耳をすませば』で、雫は本を読むことが何よりも好きな中学生。

いつも自分より先に「天沢聖司」という人物が本を借りていることに気づき、想いを巡らせていました。そして天沢聖司がバイオリン職人を夢見る同級生の男の子であることを知ります。

イタリアへ修行へいくという聖司の話を聞き、雫は進路も夢も決まっていない自分に劣等感を抱きました。そこで彼女は、自分も夢に向かってがむしゃらに突き進んでみることを決めます。初めて物語を書くことに決めたのです。

出典:スタジオジブリ

アンティークショップ「地球屋」においてあった猫の置物、バロンが主人公の物語です。

受験勉強を放棄し、図書館に通い詰めて調べものをしながら何とか書き上げた作品でしたが、その出来は「荒々しく」「未完成な」ものでした。初めてなのですから当然ですよね。

映画の後半で、雫は自分の未熟さを痛感し、進学してもっと勉強しなければと思い直します。

そして雫は聖司の想いを受け入れ、二人で夢を追いかける決意をして『耳をすませば』は終了します。

この映画の続きを想像すると、原作者の柊さんが言うように、うまく描き切ることができなかったバロンの物語を、雫はきっともう一度書くだろうと思いませんか?

実際に、雫はもう一度バロンの物語を書きました。いろいろな人生経験や、学びを経て雫が書いたバロンの物語が『猫の恩返し』なのです。この事実はスタジオジブリも公式に認めた設定です。

『猫の恩返し』は『耳をすませば』のスピンオフ映画ということですね。『猫の恩返し』でバロンは猫の事務所の所長を務め、さらにかっこよさがパワーアップしているのもうなずけます。

『猫の恩返し』との共通点2:登場する猫のつながり

出典:スタジオジブリ

『猫の恩返し』は、車にひかれそうになった猫の国の王子様を女子高生ハルが救出したことから始まる物語。

命の恩人であるハルは猫の国に招待され、そのまま猫として暮らすよう迫られます。

そんなハルを助けようと試みるのが、猫の事務所で働くバロンとムタです。このバロンとムタというキャラクターこそ『耳をすませば』と『猫の恩返し』に共通して登場する猫たちです。

『耳をすませば』では猫の置物として登場していたバロン。雫の書いた物語の主人公でもありました。一方『猫の恩返し』では主人公ハルを助けるヒーローとして描かれています。

出典:スタジオジブリ

バロンは身長30センチほどで、猫の事務所の所長をしています。白のタキシードにシルクハット、ステッキという姿。このいで立ちが猫にこれほど似合うとは…と思った方もいるのではないでしょうか。

バロンは助けを求めるハルに対して紅茶をふるまうなんとも紳士な猫。ハルのピンチに駆けつけて、ステッキで敵をなぎ倒していく姿に、多くの女性が魅了されたはずです。

そして、ムタというキャラクターも愛すべき存在です。

出典:スタジオジブリ

『耳をすませば』では「ムーン」とよばれていましたが、えさをもらっている他の場所では「ムタ」とよばれることもあったようで、『猫の恩返し』ではこの呼び名になっています。

ハルが猫の事務所に助けを求めようとしているとき、案内役をかってでるのがムタでした。

そういえば『耳をすませば』で雫を「地球屋」に案内してくれたのもムタでしたよね。雫が自分の体験を通して『耳をすませば』を書いたことを想像させます。

『猫の恩返し』ではムタのずんぐりむっくりの体型がさらにバージョンアップしており、ハルには「ブタ」呼ばわりされてしまうほど。

猫の国には、ムタが一夜にして湖の魚を食い尽くしたという恐ろしい伝説が残っています。

食にがめつく、ひょうひょうとしているムタですが、困っているハルを見捨てることはしないので、根はとても優しい存在だとうかがえます。

『耳をすませば』に登場したムタも、家々を渡り歩く捉えどころのない存在として描かれていました。これも2つの作品のムタの共通点ですね。

最後にちょっとした豆知識をご紹介します。『猫の恩返し』に登場する猫の事務所の壁には、『耳をすませば』でバロンの恋人として登場したルイーゼの肖像画が飾ってあるそうですよ。ぜひ探してみてください。

猫に注目して『耳をすませば』をもっと楽しもう!

出典:スタジオジブリ

『耳をすませば』と『猫の恩返し』の2作品に登場する、2匹の猫バロンとムーン(ムタ)。

『耳をすませば』の主人公雫によって書かれた物語が『猫の恩返し』であり、2匹の猫は同じキャラクターなのです。

2つの作品に描かれた2匹の猫の姿を比較してみると、きっと作品の面白さが倍増しますよ!

>>泣ける!『耳をすませば』の主題歌「カントリーロード」の歌詞に込められた意味を解説

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